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【書評】『やっぱり会計士は見た!』〜就活生・投資初心者必読の一冊〜

ご無沙汰しております。今回は、『やっぱり会計士は見た!』を読んで、読後の感想をシェアしていきたいと思います。

本書は、公認会計士・税理士でいらっしゃる前川修満さんが執筆した「本当に優良な会社を見極めるためのガイドブック」であり、比較的平易に読了できる内容となっています。

今回は、そんな本書『やっぱり会計士は見た!』に書かれていた内容の中で、是非とも皆さんに知っていただきたいものを厳選してご紹介します!是非ともご覧ください。

 

目次

  • 企業はどのように儲けるのか?
    • 利幅を大きくする(ルノアール)
    • 資本の回転速度を高める(ドトール)
  • 何故ヤマト運輸はアマゾンの当日配送をやめたのか?
    • 事業部門別に細分化してみるとわかりやすい
    • 経営者は自分のものさしで事業を捉えるべき
  • 会社を経営する上での最大目的
    • 結局人間は利己的な生物である
    • 企業の規模で目標に違いが!?
  • まとめ

 

企業はどのように儲けるのか?

まずはじめに、本書を読む上での基礎知識として、「企業はどのように儲けるのか」ということについてお伝えしていきたいと思います。

本書では、企業が儲けるための方策として、以下の2つの方法が紹介されていました。

  1. 利幅を大きくする
  2. 資産の回転率を高める

まずは、この二つについて詳しく見ていくことにしましょう。ここでは、わかりやすいように本書でも紹介されていた、2つの大手コーヒーショップの例を使用したいと思います。

両社ともに、コーヒーを売るという業態は同じですよね。しかし、ドトールコーヒーではコーヒー1杯が270円であるのに対し、ルノアールでは540円と、2倍の値段設定がされています。

何故このような値段設定がされているのでしょうか?それは、両社の「稼ぐために力を入れている点」が異なるからです。

利幅を大きくする(ルノアール)

「利幅を大きくする」とは、ある商品・サービスの利益を大きくするということです。ルノアールでは、コーヒー1杯の利益を大きくし、利益を上げることを狙っています。

コーヒー1杯の値段を上げるために、コーヒーに様々な付加価値をつけています。ネルドリップにしたり、wi-fiを店内に張り巡らせたりと、顧客価値の最大化に努めています。

そのため、「量より質」で勝負する業態であると考えることができます。多くのお客さんをさばくより、数少ないお客さんから多くのお金をいただく、というイメージですね。ルノアールは、このように「利幅を大きくする」ことで儲けることを狙っているのです。

資本の回転速度を高める

一方、ドトールはどうでしょうか。実はこのドトールは、ルノアールとほぼ同時期にできたにも関わらず、売上高・営業利益・当期純利益・総資産で、ルノアールをはるかにしのぐ規模に成長しているのです!ルノアールの半分の価格設定で、ドトールがどのように成長を遂げているのか気になりますよね。

その成長のからくりは、「資本の回転速度を高める」という経営方針にあります。先ほどのルノアールとは全く逆の発想で、「質より量」で勝負をするイメージになります。つまり、多くのお客さんから少しづつお金をいただくことで、利益を上げているのです。

これは、レジでお会計をする時を想像するとイメージがつきやすいのではないでしょうか。両店舗ともに行ったことがある方はわかると思いますが、ルノアールとドトールで、お会計のタイミングが違うのです。

ルノアールに入店すると、お客さんは以下のフローを体験することになります。

入店する→注文をする→店内でゆったりする→お会計をする→退店

一方、ドトールに入店し、店内で過ごすことを選択すると、お客さんは以下のフローを体験します。

入店する→注文をする→お会計をする→店内でゆったりする→退店

「席を確保する」など、細かいフローは省略してありますので、ご了承ください。大きな違いは、「お会計のタイミング」です。

ルノアールは、客単価を高めるという経営方針でした。「量より質」のルノアールでは、多くの利益を回収することさえできればいい、というメッセージが表れています。

一方、ドトールでは「質より量」の経営方針です。量を多くさばくには、お客さんの回転速度を高めなければなりません。そのために、注文が確定したらすぐにお会計をして、回転率を高める工夫をしているのですね。

 

 

何故ヤマト運輸はアマゾンの当日配送をやめたのか?

近頃、ヤマト運輸がアマゾンの当日配送から撤退するというニュースが出たことを覚えていらっしゃる方も多いと思います。アマゾンといえば、今をときめく大企業で、ECサイトの雄という存在ですよね。

そんなアマゾンの当日配送から、宅配便大手のヤマト運輸が撤退するというニュースは、世間を大きく震撼させました。

何故ヤマト運輸はアマゾンの当日配送から撤退したのでしょうか?あらゆる理由が考えられますが、撤退理由をヤマト運輸の決算報告書から読み解いてみましょう。

事業部門別に細分化してみるとわかりやすい

以下は、ヤマト運輸公式ホームページから引用した、ヤマト運輸の事業別業績です。

デリバリー事業

区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 1,111,867 1,151,028 1,201,745
セグメント間の内部営業収益 66,082 66,560 69,670
営業収益合計 1,177,950 1,217,588 1,271,415
営業費用 1,139,759 1,211,950 1,264,657
営業利益(損失) 38,190 5,638 6,758

BIZ-ロジ事業

区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 106,822 108,643 121,939
セグメント間の内部営業収益 12,553 13,357 13,799
営業収益合計 119,375 122,001 135,739
営業費用 114,469 117,929 131,651
営業利益(損失) 4,905 4,072 4,087

 

ホームコンビニエンス事業

区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 48,981 49,163 48,900
セグメント間の内部営業収益 15,246 14,593 13,805
営業収益合計 64,228 63,757 62,705
営業費用 63,081 62,681 62,183
営業利益(損失) 1,146 1,076 522

e-ビジネス事業

区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 43,357 45,639 46,480
セグメント間の内部営業収益 30,366 34,671 39,189
営業収益合計 73,724 80,310 85,670
営業費用 64,715 70,942 75,082
営業利益(損失) 9,009 9,368 10,587
フィナンシャル事業
区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 72,455 77,985 82,981
セグメント間の内部営業収益 3,352 3,049 2,899
営業収益合計 75,807 81,034 85,880
営業費用 67,121 72,790 77,967
営業利益(損失) 8,685 8,243 7,912
オートワークス事業
区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 24,458 24,613 24,641
セグメント間の内部営業収益 27,539 28,185 30,299
営業収益合計 51,998 52,799 54,940
営業費用 48,625 49,526 50,799
営業利益(損失) 3,372 3,273 4,141

その他

区分 2016年 3月期 2017年 3月期 2018年 3月期
顧客に対する営業収益 8,470 9,777 12,125
セグメント間の内部営業収益 49,860 60,875 44,273
営業収益合計 58,330 70,653 56,398
営業費用 31,815 35,175 39,181
営業利益(損失) 26,515 35,477 17,217

ヤマト運輸公式ホームページより引用

この中で注目していただきたいのが、デリバリー部門の営業利益です。他の事業部門と比較しても、営業収益は安定的に伸びているにも関わらず、最終的な営業利益が大幅に減少しているのです。

こうした事実を省みたヤマト運輸は、「このような非効率的なことを続けていても、単に疲弊するだけだ。だったらいっそのこと事業を縮小しても、効率的に利益を得ることを選択しよう」と決断し、アマゾンの当日配送から撤退することを決断しました。

経営者は自分のものさしで事業を捉えるべき

ここで私が痛感したのは、経営者は自分の物差しで事業の現状を把握すべきである、ということです。

以前読んだ本『稲盛和夫の実学 経営と会計』のなかで、京セラ創業者の稲盛和夫さんは、以下のようなことをおっしゃっていました。(ちなみに、著書の書評はこちらです!)

日本経済は成熟し、成長神話は崩れ去り、複雑なグローバル経済の中に組み込まれている。このような時代においては、経営者は、自社の経営の実態を正確に把握したうえで、的確な判断を下さなくてはならない。

しかしながら、会計処理はBPOなどでアウトソーシングする流れが世の中にあります。これはいかがなものかとと個人的には思います。

何故なら、会計処理を軽視して、アウトソーシングしておけば勝手に財務諸表は作られると考える経営者の方が多いと思うからです。会計軽視の流れがあり、まるで「経営者は自分の目で経営の実態を把握する必要はない」とでも言っているようなものです。

しかし、経営者はそれなりのビジョンを持って、その事業を立ち上げたのだと私は思います。それならば、事業の年度ごとの会計状況を把握しておく責任はあると私は考えます。

アウトソーシングなどせず、財務諸表の作成など、正確な会計情報の把握は経営者がすべきことの一つだということを、本書を読んで強く感じました。

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会社を経営する上での最大目的

ここからは、本書に書かれていた内容を踏まえて、私自身が感じたことを書いていこうと思います。

本書を読んで、私が強く考えさせられたのは、「会社を経営する上での最大目的は何だろうか」ということです。

私は就職活動を通じて、会社を経営するうえでの最大の目的は、「世の中への何らかの貢献をしていくこと」だと思っていました。しかし、これまでに何度か「それだったらNPOなどの非営利組織と変わらないじゃないか」というご意見をいただくこともありました。

そのような中で本書を読んで、「会社を経営する目的は、個々人で異なる」という発見をしました。

結局人間は利己的な生物である

結局人間は、利己的な生物です。どうしても自己の利益を追いかけてしまいますし、私もそのような存在の中の一人です。

これは、会社の経営にも当てはまると思います。会社の経営を通じて社会貢献ができることが一番ですが、「二兎を追う者は一兎をも得ず」という言葉もあるように、必ずしも事業がうまくいくとは限りません。

私が経営者になった時、本当に社会貢献を一番に打ち出した事業を展開できるかは甚だ疑問ですし、株主・従業員・お客さんなど、ステークホルダー(利害関係者)のことを考えると、どうしても利益を追い求めてしまうと思うのです。

企業の規模で目標に違いが?

ここで注目して欲しいのが、ベンチャーなどの比較的規模の小さな企業の経営者は、利益を追求するために「大きな企業に買収されること」を目標にしている場合が多いのです。

確かに、これには頷けます。どうしても少ない資金源の中で事業を展開せざるを得ない場合、自分たちのやりたいことを実現させるためには、さらなる資金が必要になります。

よって、小さな企業の経営者は、利益主義に走ってしまうのも頷けます。

私の就職活動中の「キレイゴト」を、見事に打ち砕いてくれました。(笑)

まとめ

ここまで、『やっぱり会計士は見た!』を読んで、読後の感想をお伝えしてきました。今回の記事の主なポイントは、以下の一点に尽きます。

経営者こそ、自分の会社の経営状態を正確に把握するべきである。

このことを痛感できる『やっぱり会計士は見た!』。是非とも皆さんもご一読をお勧めします!

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