勉強会

『学生限定勉強会 #Blockchainだからこそ成せる世界観を考える』に行ってきました 〜その1〜

今回は、9月8日土曜日に開催された、 東大ブロックチェーン開発団体BitPenguinが主催する『学生限定勉強会 #Blockchainだからこそ成せる世界観を考える』にいってきました。個人的にブロックチェーンという技術自体にすごく興味があったのですが、これまでに参加した勉強会はどうしても技術寄りの話中心で、なかなか「ブロックチェーンをどのように活かすか」「ブロックチェーンでしかできないことは何か」という議論をする機会に恵まれませんでした。

そこで、たまたま『学生限定勉強会 #Blockchainだからこそ成せる世界観を考える』の告知を見つけ、ブロックチェーンを活用して世の中にどのような価値を生み出していくことができるのか、ということを考えるいい機会だと思い、参加することを決意しました。

この勉強会では、モバイル動画、VR/AR領域で成功を収め、新たにブロックチェーンファンドを立ち上げ、また自社でもブロックチェーンを用いた事業開発に取り組む株式会社Gumiの代表取締役国光宏尚様をお招きし、ブロックチェーンに関する様々な議論をさせていただきました。

ここからは、二つの記事にわたって、勉強会のアウトプットとして、LTの概要、国光様にお伺いしたことなどを発信していきます。学生という立場を存分に発揮して、貴重なお話をお伺いしてきたので、是非ともご覧いただきたいです!

今回は東大の学生であり、東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin代表でいらっしゃいます大森 晃太朗さん、田原弘貴さんのLTを踏まえ、私なりの見解を発信していきたいと思います。

 

目次

  • LT「結局ビットコインとは何がすごいの?」
    • ビットコインは法定通貨になりうるのか?
    • ネットワーク外部性とは
    • ビットコインは基軸通貨になろうとしている
    • ユーロとは何が違う?
    • これまでの通貨の問題点まとめ
  • LT「ブロックチェーンと宗教」
    • 宗教とブロックチェーンに共通する特徴
    • 宗教の定義
    • 原始宗教とは
    • 機能論的な神様とは
    • 信仰の厚さはどのように決まるか
    • 宗教とブロックチェーンの類似点
  • まとめ

 

 

LT「結局ビットコインとは何がすごいの?」大森 晃太朗さん

まずは、東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin代表でいらっしゃいます大森さんより、「結局ビットコインとは何がすごいの?」というLTからスタートしました。

「ビットコインが〜」「ブロックチェーンが〜」とかいう割には、結局なにがすごいのかを語ることができる方は少ないのではないでしょうか?その理由として、「ブロックチェーンでしかできないこと」を定義できていないからではないかと大森さんは提案していました。

現在、世の中にはブロックチェーンを活用したプロダクトが生まれ始めています。しかし、考えてみると、その多くが「別にブロックチェーンじゃなくてもよくない?」と思えるものですよね。

例えば、リップルという技術。wikipediaには、以下のように定義されています。

リップルRipple)とは、Ripple Inc. によって開発が行われている分散型台帳技術を利用した即時グロス決済システム、 外国為替・送金ネットワークである。コンセンサス・レジャーとXRPと呼ばれるネイティブ通貨を用いるオープンソースのインターネット・プロトコルは、リップル・トランザクション・プロトコルRTXP)またはリップル・プロトコルと呼ばれる。

しかし、国際間の送金はブロックチェーンを用いなくてもできますよね。確かにコストを下げる点ではブロックチェーンの優位点はありますが、革新的な価値を世の中に提供しているとは言えないのではないでしょうか。

話は戻りますが、現在知名度がとても高くなったビットコインですが、ビットコインは経済にどのような影響を及ぼしているのかを考えることで、これからのブロックチェーンに関する勉強の指針を示していただけるようなLTでした。

 

ビットコインは法定通貨になりうるのか?

ビットコインに関してよく議論されるのが、表題のような「ビットコインは法定通貨になりうるのか?」というお題です。そもそも「法定通貨」とは一体何でしょうか?今回もwikipediaの定義を引用しましょう。

法定通貨(ほうていつうか、英: legal currency/tender)とは、強制通用力(金銭債務の弁済手段として用いることができる法的効力)を有する通貨のこと。つまり、法定通貨による債務弁済を拒否することは一般にはできない。

つまり、法定通貨とは「価値の保存性を持った通貨」ということになります。

ビットコインが価値の保存性を持った出来事と言えば、2013年に発生したキプロス危機です。2012年から始まったギリシャ危機の連鎖によって発生したのがキプロス危機です。

もともとキプロスという国は、高金利と低税率により、租税回避地として多くの国から資金を集めていました。銀行資産がGDPの約8倍になるほど膨れ上がっていたという事実もあります。

しかし、ギリシャ危機によってキプロスの銀行は多くの不良債権を抱えることになります。自国ではどうしようもならなくなったキプロスは、IMFやEUに救済を求めます。

しかし、救済内容は前代未聞のものでした。救済案では、資金を援助する代わりに、キプロスの預金者にも58億ユーロの支払いを求めるという、異例の預金カット策が提案されたのです。(ある種足元を見られている)

この理由としては、救済国の意見が大きく反映されていたようです。これまで租税回避地として多くの国から不正に資金を集めていたことに対して、これを機に取り締まろうと狙っていたのです。

結果的に、国内では銀行のATMから預金が下ろせなくなってしまいました。絶望したキプロス国民は、新たな投資先として仮想通貨であるビットコインに投資をし始めました。結果的に、この時ぐらいからビットコインの価値が急激に上昇し始めました。

 

ネットワーク外部性とは

仮想通貨には、ネットワーク外部性の影響を受けやすいという性質があります。ネットワーク外部性とは、財・サービスの価値はその利用者の数に依存するという概念です。以下にwikipediaの引用をします。

ネットワーク外部性(ネットワークがいぶせい、英: Network externality)もしくはネットワーク効果(ネットワークこうか、英: network effect)とは、製品やサービスの価値が利用者数に依存していること[1]である。代表的なものに電話がある。

あらゆる仮想通貨がある中で、なぜビットコインだけが飛び抜けて価値が高いのか、と疑問に思ったことはないでしょうか?その理由は、ビットコインが一番最初に生まれ、みんながビットコインを購入しているからです。つまり、アルトコインを購入する場合は、ビットコインにはない機能を持ったコインを購入すべきでしょう。

その理由は、以下の二つが存在すると大森さんは指摘していました。

  • 世界中どこでも同じ価値が認められる
  • 高い流動性と汎用性

つまり、世界中のあらゆるところでノードを立てることさえすれば、同じ価値で通貨を扱うことができることを活かすことができる点で仮想通貨は強いのですね。

 

 

ビットコインは基軸通貨になろうとしている

現在の基軸通貨はアメリカのドルですよね。アメリカのドルは、なぜ基軸通貨になることができたのでしょうか?

基軸通貨の要件は、以下に示す通りです。

  1. 軍事・経済力の圧倒的優位性
  2. 政治・経済の安定
  3. 発達した金融市場の存在
  4. 貿易・対外資本取引規制の撤廃
  5. 通貨価値の安定

このうち、「軍事・経済力の圧倒的優位性」「政治・経済の安定」「貿易・対外資本取引規制の撤廃」については、ビットコインにはそもそも管理者が不要のため、要件外となります。また、「発達した金融市場の存在」については、世界中にノードを立てることで実現することが可能です。「通貨価値の安定」については、一番のボトルネックになってくるのですが、ここさえ解消することができれば、ビットコインは基軸通貨としての役割を果たす可能性が格段に上昇するのではないでしょうか。

 

ユーロとは何が違う?

基軸通貨と同じような働きをする通過として、ユーロがあります。EUのなかで共通通貨同盟の間で用いられている通貨であるユーロですが、ユーロには様々な問題点があると大森さんは指摘します。

以下に、大森さんが指摘していたユーロの欠点を示します。

  • 最低賃金の問題優秀な人材の流出経済格差の拡大

  • ドイツ有利になっている(管理者の問題)

まず1点目の最低賃金の問題についてです。これは、域内で共通の通貨を使うことで、貨幣を同じ価値基準で見ることから、最低賃金も各国で同じになってきます。すると、経済状況のいい国は、労働者に対して多くの賃金を支払うことで、優秀な人材を集めやすくなり、逆に経済的に苦しい国は人材の流出が止まらなくなります。これによる経済格差が懸念されます。

次に2点目は、「実はユーロは導入時にドイツが儲かる仕組みになっていたのではないか」という議論と関係します。輸出の多い国は自国通貨の価値が高まる傾向にあります。

例えば、ドイツの車(例として、ベンツとします)を購入する時、ドイツの通貨であるマルクを使って購入しますよね。その時、マルクを手に入れるためにマルクを購入します。

同じように、ドイツ産の美味しいソーセージを購入しようとします。この時も、マルクでドイツ産のソーセージを購入する必要がありますよね。

これを繰り返していくと、マルクの価値は上昇してしまいます。上記の例で、ベンツを購入しようとしている時、仮に日本の自動車メーカーがベンツと全く同じ価値の車を販売しているとすると、ドイツ産のベンツは日本の自動車よりも多くのお金をかけて購入しなければならなくなるのです。

つまり、自国通貨の価値が上昇すると、輸出競争力は下がることがわかります。

 

これまでの通貨の問題点まとめ

これまでの通貨システムには以下のように様々な問題点が存在している、と大森さんは指摘していました。

  • 中央集権的なシステムで、誰かが儲かる仕組みになっている
  • 管理者(国)の違いによって価値が違うため、競争力に格差が生じている

一方、ビットコインは、以下のような特徴を備えています。

  • 管理者がいない合意形成システムを採用している
  • 全世界で同じ価値が認められる

ビットコインは、これまでの通貨が抱える問題点を解消することができる可能性を秘めているのではないか、というのが大森さんの結論でした。

ビットコインという通貨は、その利用者の多さに強みを持っていると感じました。しかし、ブロックチェーンという技術の方に優位性があるのであり、ビットコインそのものに関しては特別性はないのかな、と考えます。仮にビットコインが誕生するのが遅かったら、ビットコインはここまでの優位性を持っていなかったのではないでしょうか。

 

 

LT「ブロックチェーンと宗教」田原 弘貴さん

かなり尖ったLTをしてくださったのが、大森さんと同じく東大ブロックチェーン開発団体BitPenguin代表の田原弘貴さんです。その内容は、「ブロックチェーンと宗教」というものでした。

一見してブロックチェーンと宗教は結びつきそうもないものですが、実は両者の特徴はとても似通っているというのがLTの内容でした。

 

宗教とブロックチェーンに共通する特徴

まず、とても尖ったLTであったので、先にまとめを示しておきます。

  • 非中央集権的で、あるのは中立的なシステムである
  • 目的の本質はコミュニティの結束である
  • そのためにコンセンサスアルゴリズムを用いる
  • サボると悪意のある他者による攻撃
  • 価値の源泉がプロトコルに対する信頼である(権威に対する服従ではない)

はじめに、このLTはブロックチェーンは経済化された宗教的システムではないか、という提案から始まります。この時点で私は「何を言っているのだこの人は…」と、意味のわからない感情に陥りました。

しかし、よくよく話を聞いてみると、腑に落ちる内容であったので、書いていきます。

 

宗教の定義

そもそも宗教には、実在論的定義と機能論的定義の2種類が存在するという導入から始まりました。

  • なんらかの実在者を信じる信念であり、超自然的なもの、存在への信仰(実在論的定義)
  • 共同体の結束を再確認したり、その統一を強化し、人々の抱える究極的な問題に対して答えを出すもの(機能論的定義)

今回は、二つ目の機能論的定義について、ブロックチェーンと似通っているところを中心にお話ししてくださいました。

 

原始宗教とは

次に田原さんは、ブロックチェーンと原始宗教は似ているという指摘をしました。原始宗教とは、wikipediaの定義を引用すると以下のようになります。

筆記が発明され記録が残されるようになる前に人類の祖先が持っていた宗教的概念や行為のこと。

つまり、体系化されていない宗教のことを原始宗教と呼ぶという解釈で良いのでしょう。日本の例で言えば、奈良県の大神神社が稀有な例となるようです。大神神社は、ご祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)がお山に鎮まるために、古来本殿は設けずに拝殿の奥にある三ツ鳥居を通し三輪山を拝するという原初の神祀りの様を伝える我が国最古の神社です。

 

 

機能論的な神様とは

宗教において、機能論的な神様とは、「限りなく中立的な第三者であり、絶対者ではない」という立場をとるものです。集団の結束を強めるために儀式を見届けるような、あるいは、究極の問題への答えを提示してくれるような、第三者としての立場にあるのが神です。

ここでいう儀式とは、「供儀」という儀式を指します。「供儀」とは、生贄を神様に捧げるという儀式のことです。供儀は、原始宗教では必ず見られる光景となっています。その理由としては、原始宗教を信じている社会は狩猟採集民族で、動物を狩る、つまり動物を殺してしまいます。この「動物を狩る(=殺す)プロセスを宗教化したもの」が、供儀です。

この「狩った動物を神に捧げる」ことを通して集団の結束力を高めることが、供儀の最大の目的であったのです。強い結束を通じて、集団の存続を目指します。

古代ギリシャの文明でも、このプロセスと同じようなことが行われており、また「王権神授説」とも似ていますよね。ちなみに、この供儀という儀式を行わないと、神様は信じられないぐらい怒るとされています。

これによって、以下のような正のフィードバックが働きます。

神様が怒るから供儀を行う→集団の結束が高まる→神様が怒るから供儀を行う→集団の結束が高まる・・・

 

信仰の厚さはどのように決まるか

宗教の信仰の厚さは、信仰者の数によって大きく異なります。一般的に、信仰者の多い宗教は信仰は厚く、信仰者の少ない宗教は信仰が薄いとされるようです。

 

宗教とブロックチェーンとの類似点

ここで、このLTのまとめを再掲します。

  1. 非中央集権的で、あるのは中立的なシステムである
  2. 目的の本質はコミュニティの結束である
  3. そのためにコンセンサスアルゴリズムを用いる
  4. サボると悪意のある他者による攻撃
  5. 価値の源泉がプロトコルに対する信頼である(権威に対する服従ではない)

再び見てみると、宗教とブロックチェーンってすごく似ていると思いませんか?

ブロックチェーンという非中央集権的で中立的なシステムであり、神のような第三者的な立場を取っています。目的の本質は、ブロックチェーンを通じたコミュニティの結束であり、コンセンサスアルゴリズム、つまり計算量(プルーフオブワーク)を用います。承認作業をサボると悪意のある他者に攻撃されてチェーン自体の価値が失われてしまいますし、絶対的な管理者によって支配されているわけではありません。

田原さんは、ブロックチェーンの開発者については、巫女のような立場とみなして良いのではないかと提案していました。つまり、開発者は、管理者のいないブロックチェーンの世界において、神とのやり取りを行ってくれる存在とみなして良いということです。

なかなか尖っており、面白いLTでした。

 

まとめ

今回は、ブロックチェーンの勉強会にて行っていただいたLTについて、私なりの見解を交えつつ論じてきました。今回の記事の主なポイントは以下の通りです。

  • ブロックチェーンの最大の特徴は、非中央集権的であり非強権的であること
  • ブロックチェーンの本質的な目的は、コミュニティの結束であること
  • ブロックチェーンを用いると、解決不可能とされてきた問題も解決できる可能性があること

LT自体とても面白く、かつ非エンジニアである私もとても楽しめる内容になっていました。また、この勉強会を通じて、ブロックチェーンはあくまで手段であり、大切なのはその人がもつビジョンであると痛感しました。

いくらブロックチェーンを活用したものを作っても、世の中に何らかの価値を提供することができなければ、全く意味がありません。

次回の記事では、いち早く世の中のトレンドを察知し、成功をしてきた株式会社Gumi 代表取締役国光宏尚様の講演をお伝えします。

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