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『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読んで【各界のリーダーの愛読書】

今回は、『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』(以下、『失敗の本質』)を読んで、その感想と一部内容を書いていこうと思います。

本書『失敗の本質』は、1984年に野中郁次郎氏、寺本義也氏など、日本を代表する組織論の研究者を含む6名で執筆されました。執筆から20年以上経った現在でも、多くの人々に読まれています。中には、小池百合子東京都知事や、サントリーホールディングス社長新浪剛史氏も読まれているようです。

この『失敗の本質』に書かれていることは、日本企業をはじめとする多くの組織が直面する問題です。私自身、インターンシップでしか企業で働くといった体験をしておらず、企業の問題点に対して意見を述べることなど憚られることは重々承知しております。

しかし、これから組織の中で働く私にとって、組織の内部でおこる問題を今のうちに理解しておくことは、いい経験になると思い、読むことを決意しました。今回は、『失敗の本質』を読んでの感想、一部の内容を書いていきます。お手すきの際に読んでいただけると幸いです。

『失敗の本質』とは

そもそも、本書『失敗の本質』は何についての本なのでしょうか?簡単に言えば組織についての問題を書いた本ですが、単なる教科書を読み進めるほど私も暇ではありません。笑

『失敗の本質』は、約70年前に日本軍が敗北した大東亜戦争最中に起こっていた日本軍内部の組織的な問題についてを描いた本です。およそ30年ほど前に書かれた組織論についての本ですが、2011年の震災後の国の対応、最近では相次ぐ巨大企業の組織的隠ぺい、都政への不信感などから、30年前の古典が再び脚光を浴びています。

その理由としては、この『失敗の本質』に書かれている日本軍内部の組織的な問題点が、こうした現代の巨大組織の内部に潜む問題点と、驚くほど似通っているからです。

戦争の結末は、すでにみなさんがご存知の通り日本軍は大敗を喫しました。この結末も、記者会見などで謝罪をする悲しい結末ととても似通っていると感じました。

このことから、戦時中の組織論を学ぶことは、これからの組織的な失敗を未然に防ぐために大切だと思います。そこでここからは、本書『失敗の本質』で紹介されていた内容をご紹介します。

大東亜戦争末期の日本軍と現代日本に共通する3つの弱点

ここからは、大東亜戦争末期の日本軍と現代日本に共通する弱点についてご紹介します。この弱点、戦時中と現代日本で驚くほど似通っています。以下に、3つの失敗をご紹介します。

曖昧な目的と、失敗から学習しない組織

大東亜戦争中、作戦の目的が曖昧で、司令部と軍との間で意思疎通が取れていないことが伺えるシーンがあったようです。ノモンハン事件、ガダルカナル島での戦い、インパール作戦など、日本では戦略目的が曖昧にも関わらず、戦闘が開始されています。その上、明らかに作戦が失敗しているにもかかわらず、戦力をさらにつぎ込んで、悲劇を拡大しています。

このように、戦時中の日本軍は、明らかに非合理的な作戦で戦争を戦っていたことがわかります。本来組織とは、メンバーの意見を合わせて合理的に物事を進めていくものであるにも関わらず、戦時中の日本軍は軍内部に流れる「空気」によって作戦を決めていたようです。

例えば、「◯◯さんがいうのだから、この案に間違いがないのであろう」や、「非常事態には◯◯さんに従っていれば大丈夫」などという理由で、組織の作戦が決まってしまうことが頻繁に起こっていたようです。一種の依存体質・思考停止状態に陥っていたようです。

これにより、非合理的な意思決定をした結果、作戦が失敗しても容易に意思決定方法を変えることができず、本来は機能するはずの組織のチェック機能も無いに等しくなってしまいました。

特に、太平洋戦争の宣戦布告の際、どのようにすれば日本が勝利したとみなすのかを決定していなかったそうです。これほど曖昧なことはあるでしょうか!

この結果、戦争は「敗北」という結果に突き進んでいってしまいました。

愚かなトップダウンの意思決定

上述の通り、戦争中は、戦略・作戦を決定する上層部が周りの空気によって意思決定をしていました。この結果、愚かで非合理的な決定を繰り返し、失敗を繰り返してしまいました。

現代の組織でも、このような問題は散見されます。つまり、経営層が現場の声を全く聞かずに自分たちの意見を押し通すことで、失敗を繰り返す結果となってしまうことがよく見られます。

部活動でもこれは一緒ですよね。つまり、主将が部員の意見を聞かずに自分のやりたいように活動をしていけば、いい結果など当然出るわけがありません。みんなの意見を聞いて、各自が合理的な判断を下して組織として最適解を常に導き出すことで、いい結果が期待できます。

組織運営は、部活動と似通っているのだなと感じました。

リスク管理ができていない

組織の不祥事は、多くの場合リスクを放っておいたことによって発生してしまいます。日本軍の零戦(ゼロ式艦上戦闘機)は、軍部の無茶振りとも言える要求に応えるため、機体の軽量化を図っていました。圧倒的な速度で上空6000メートルに到達し、先手必勝で優位に空中戦を制することが目的でした。

そのためには、機体を圧倒的に軽量化する必要がありました。軽量化を測るためには、それなりに弱い素材を使用しなければなりません。結果として、日本の零戦は防弾機能を備えることはありませんでした。防弾機能のない戦闘機は、被弾をするとすぐに炎上してしまいました。

このように、軍部がリスク管理をしていないことによって決定された事項により、重大インシデントが発生してしまいました。

現代も、問題の萌芽を放っておくことで発生するインシデントは多いのではないでしょうか。東芝のチャレンジ制度などは、トップからの無茶振りに応えようとして会計指標を不正に操作する、典型的なリスク完治の欠如を表しています。

過去の成功体験が失敗を導く

読者の皆さんにも、何かしらの成功体験があるのではないでしょうか。成功体験をすると、成功までに積み重ねたやり方を捨てるのは相当な勇気が必要ですよね。

組織の成功体験も、同様の事例があるようです。

成功体験に固執してしまう

日本は、日清戦争、日露戦争で圧倒的な勝利を収めました。これによって身につけた戦争のやり方は、なかなか捨てられません。

日本は明治維新後、「坂の上の雲」を追いかけ、徹底的なリアリズムで日清、日露戦争を戦い、大国を破りました。先進国の仲間入りを果たしましたが、この時の成功体験をなかなか捨てることができませんでした。

この時の失敗が、以下の二つの失敗を引き起こしました。

  • 年功序列による同質化
  • 外部からの緊張がない内部組織の平静

旧陸軍にいた人によると、「火力能力を速やかに向上せしむるにあり」という一行を書くことも当時は大変だったそうです。これを書いた参謀の人たちも、左遷を覚悟でここまで書くことができたという話があります。

イノベーションのジレンマ

こうした組織体が陥る失敗を表す言葉で、「イノベーションのジレンマ」というものがあります。イノベーションのジレンマとは、業界トップになった企業が顧客の意見に耳を傾け、さらに高品質の製品サービスを提供することがイノベーションに立ち後れ、失敗を招くという考え方です。

多くの組織が、このイノベーションのジレンマに陥ってしまうようです。過去の成功体験が、どうしても組織を縛り付けてしまい、新たなイノベーションが起きなくなってしまいます。結果として、新たな組織にポジションを奪われてしまうことになってしまうのです。

アメリカ人は失敗から学ぶ

戦争中、アメリカ人は過去の失敗から学んだ戦法で日本を破りました。その最大の理由は、過去の敗戦から謙虚に学んだことにあるのではないでしょうか。

以下の発言は、本書『失敗の本質』に紹介されていた、米第三艦隊参謀課長ロバート・B・カーニー少佐は、レイテ島攻略を前にして以下のように語っています。

どんな計画にも理論がなければならない。理論と思想に基づかないプランや作戦は、女性のヒステリー声と同じく、多少の空気の振動以外には、具体的な効果を与えることはできない。

つまり、米軍は、理論とは与えられるものではなく、自分たちで作り上げていくものであるようです。彼らは、失敗から謙虚に学びを得て、次の戦争に臨んでいます。

毎日動く戦況に応じて兵力を逐次投入していた日本軍とは大きな違いです。

問題の民族的な原因

このような、過去の取り扱い方の違いについて、民族的・宗教的な違いがあるように私は思います。ここからは、本書『失敗の本質』に紹介されていた事例を参考にして、成功のジレンマに陥ってしまう原因を考察していきたいと思います。

時間思考の民族的違い

私は、日本人とアメリカ人で、時間的な感覚の違いがあ理、これが問題の原因となってしまっているのではないかと思います。

日本人は、典型的な過去志向の民族です。先祖や家族を大事にする文化に見られるように、今という時間を「過去の積み重ね」ととらえます。つまり、過去の変化に対して後手の作戦しか取ることができません。

一方、アメリカ人は未来志向の民族です。キリスト教徒が多いことが未来志向を表しています。

キリスト教は、未来志向の宗教です。「最後の審判」からもわかるように、常に終末に向かって時が流れていると考えています。

これによって、常に未来を考えた思考をしていることが考えられます。流石に、日本人が全く未来を見ないということを言いたいのではありません。しかし、こうした宗教的な思想も、思考法に少なからず影響を与えているのではないでしょうか。

まとめ

今回は、『失敗の本質』について、感想と一部の内容を書いてきました。今回の記事のまとめは、以下の通りです。

  • 失敗から学習すべき
  • 未来志向を常に持つことが大切
  • 客観的な思考をすべき

「歴史から学べ」とは、よく言われる言葉です。その題材として、日本軍の敗北はいい存在なのではないでしょうか。

お忙しい中お読みいただき、ありがとうございます。

 

『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』を読んで【各界のリーダーの愛読書】” への2件のフィードバック

  1. 以前、菅野恵理子さんの「未来の人材は『音楽』で育てる」の記事をシェアさせて頂きました沼野敦子と申します。この度の記事も自分の為になるのではと思いまして、シェアさせて頂きます。勝手にごめんなさい。

    1. お世話になっております。いつもご覧いただきまして、誠にありがとうございます。
      これからも、皆様のためになるような記事を執筆していけるよう、精進してまいります。
      何卒よろしくお願いいたします。

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