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【話題】菅野恵理子・著『未来の人材は「音楽」で育てる』刊行記念 知のトップランナー・山口周さんと語る「音楽」中心の”教養”ばなしに行ってきた

今回は、【菅野恵理子・著『未来の人材は「音楽」で育てる』刊行記念 知のトップランナー・山口周さんと語る「音楽」中心の”教養”ばなし】を聞きに、代官山の蔦屋書店に行ってきました!『未来の人材は「音楽」で育てる』の著者である菅野恵理子さん、ゲストスピーカーである山口周さんそれぞれのお話を聞いて、個人的に感じたことを書いていこうと思います。

余談ですが、当日私は右足を部活動で負傷し、歩くのもやっとの状態でした。しかし、右足を引きずってでも、這ってでも聞きにいく価値があるお話をしてくださいました。

菅野さんの『未来の人材は「音楽」で育てる』は、私はまだ読了していないので、早速購入して読もうと思います。読了したら、感想をupします!

山口さんの著書『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか? 経営における「アート」と「サイエンス」』の記事はこちらをご覧ください。

この記事の内容さえ理解できれば、あなたは接待の場などで「教養がある人物」と見なされること間違いなしです。

それでは早速始めていきましょう。

目次

  • リベラルアーツを学ぶ意義
    • リベラルアーツとは
  • フランス人の演奏
    • 日本人には特殊に見えるフランス人の演奏
    • フランスの高校歴史の教科書
    • より「人間らしい」人材育成をすべき
  • アメリカではどのような音楽教育が行われているのか
  • 一人一人がクリエイターになる時代
    • 既存のシステムを破壊する
  • 山口周さんのお話
    • Q. ハーバード大学の学生は、音楽を学ぶことの合理化はどのようにしている?
    • Q. 企業の内部に、どのように音楽を取り入れていくべき?
    • Q. 二人にとって創造性の正体とは?
    • Creativity loves constraints.
  • まとめ

 

まずは、菅野さんがその柔らかく耳に入りやすい声でお話をしてくださるところからイベントがスタートしました。

リベラルアーツを学ぶ意義

まず、菅野さんがリベラルアーツを学び始めたきっかけについてお話しされるところから始まりました。菅野さんによると、リベラルアーツを学ぶことの意義とは、以下の通りだということでした。

時代の節目にある現代において、自分自身がこれからどう生きるのか、自分自身の問い直しをすべきである。

現代は、より「個」の自律性が大切になる時代になっています。規則や決まりに縛られることなく、より良い自己実現をするためには、物事を見る視点を高く持つことが大切になってくるのですね。

リベラルアーツとは

それでは、リベラルアーツとは一体何でしょうか?菅野さんは、以下のようにおっしゃっていました。

自分、他者をより広い視野で考える基盤のことである。

つまり、広い視点で自分だけでなく、相手を見つめる必要がある。一度、自分の存在意義や、他者との関わり方を見つめ直す必要があるのだということですね。

また、菅野さんはリベラルアーツが活発になっている現代の動きについて、ミクロ的な視点、マクロ的な視点でご説明していました。

ミクロ的な視点でのリベラルアーツの動きとは、脳科学、人体の不思議など、私たちの体内で起こっている様々なことを解明していく動き。マクロ的な視点でのリベラルアーツとは、地球レベルで何が起こっているのかを解明していく動き。現在は、このどちらも活発になっている。

例えば、最近『サピエンス全史』という本が流行しましたよね。私はまだ読了していないのですが、今私たちがいきている時代は、歴史的に見るとほんの一部分にすぎませんよね。そうした中で、マクロ的な視点に立って、歴史を学ぼうとする動きの一つの例が、『サピエンス全史』の流行です。つまり、多くの人々がマクロ的な視点に立って物事を見ることの重要性に気づき始めたという流れがあります。

このように、マクロ的な視点に立って、事故の存在意義、相手の微妙な動きを感じ取ることが、現代を生きる人々に要求されているということだと私は解釈しました。

フランス人の演奏

イベントの中で私が個人的に非常に興味深かったのが、表題の通り、フランスには日本にはない演奏方法が存在するということでした。

ところで、私は小学生の頃ピアノをかじった経験があります。ピアノを習っていた方など、小学生くらいの頃に音楽に触れる機会があった方はお分りいただけるかと思うのですが、一年に一度発表会がありました。

そこへ向けて週に一度レッスンを受けていたのですが、課題曲をピアノで弾く際、「ここはもっと情熱的に引いたほうがいい」、「この部分はもっとゆっくり滑らかに」など、曲の解釈は全て先生にお任せして引いていた記憶があります。

日本人には特殊に見えるフランス人の演奏

ところが、菅野さんによると、フランスには日本とは異なる演奏方法が存在するようです。それは、ピアノの演奏者が、自分自身の価値観の軸をしっかりと持って、曲を解釈した上で自分なりのアレンジ(解釈)を加えて演奏するそうです。

菅野さんは、フランスで音楽の国際コンクールに出席した際、上記のことを感じ取ったそうです。

さらに菅野さんがフランスで取材を進めると、あることに気づいたそうです。それは、フランスでは、どう弾くかより、「自分は何者で、この曲をどう解釈するのか」を重視するということです。つまり、自分自身が音楽にどう向き合っていくかを重視するようです。

このことが、「日本人は自分の意見を持つことが苦手だ」と言われてしまう一因になっているのかなと個人的には思いました。音楽を通じて自己実現をしていくことで、相手の持っている思想を理解することができるようになるのですね。

フランスの高校歴史の教科書

フランスには、このように個人の解釈が重視される教育がしばしば見られます。例えば、フランスの高校歴史の教科書を見てみると、教科書の毎ページにクエスチョンが記されています。このクエスチョンを通して、資料を複合的に分析することで、歴史に対する自分自身の視点を形成しているのです。これにより、考察力・分析力を養います。

別の例を示すと、アメリカで提唱された予習先行型の授業(“反転授業”)では、あらかじめ予習で知識を入れておき、授業ではグループワークを行って問題発見力・問題 解決力を養うそうです。世界中の学術情報や専門知識がオンラインで瞬時に検索できるようになった今、「知識の大量暗記」よりも「知識をどう活用して問題解決するか」とい う思考力や考察力が大切になってきます。

より「人間らしい」人材育成をすべき

より人間らしい人材育成をすることの重要性は、今後ますます高まってくると思います。現代は、テクノロジーの進化によって、近い将来、一部の職業はロボットに置き換えられるだろうという予測があらゆるところで提唱されています。

こうした中で、人間に求められる動きは、より人間にしかできない仕事にフォーカスすることです。では、人間にしかできない仕事、つまり「人間らしさ」とは一体何か?ということを考える時代に突入しています。

この流れが、現代にリベラルアーツを学ぶべき理由に繋がってくるのです。

アメリカではどのような音楽教育が行われているのか

ここまではフランスを中心にお伝えしてきました。ここからは、アメリカの音楽教育についてお伝えしていこうと思います。

総合大学に音楽学科や音楽学校が設置され、年間1,000人以上の学生が音楽を履修しているというアメリカでは、教養として音楽を学ぶことも含め、音楽を学ぶとは何か、芸術をとおして何を学べるのかを問いかけ、カリキュラムに反映しているそうです。

つまり、音楽「で」何かを学ぶ。音楽は、学びの手段として捉えられているのですね。

ハーバード大学では、8つのカテゴリに大別される同大の一般教養科目のうち、「美学的・解釈的理解」というカテゴリに芸術関連科目が含まれ、文学、絵画、彫刻、建築などとともに音楽が含まれます。音楽を学ぶ目的は「それぞれの文化的表現を理論的かつ批判的に解釈し、芸術の世界と知的にかかわり合うこと」だそうです。

イベントでは、例としてハーバード大学の「初日〜世界初演」の講義を取り上げられていました。この講義の流れは、以下の通りです。

  1. モンテヴェルディ『オルフェオ』、ヘンデル『メサイア』、ベートーヴェン『第九』、ベルリオーズ『幻想交響曲』、ストラヴィンスキー『春の祭典』の初演時の新聞記事や評論などの資料から「批評的な音楽の聴き方を学ぶとともに、自分も世界初演を聴いたような疑似体験」をする。
  2. 作曲家に新作を委嘱し、その世界初演を聴いて観賞後のリポートを提出する

この講義を通じて、音楽史の重要な転換点を学びながら、初めて聴く音楽や、新たな概念の受け取り方を鍛えるそうです。

私も今大学に通っていますが、なかなかこのような音楽を手段として何かを学ぶような講義には巡り会えていません。こうした講義を受けてみたいものですね。

一人一人がクリエイターになる時代

現代は、以前とは違って「個」の自律性が求められる時代になっています。こうした時代においては、一人一人がクリエイターにならなければなりません。

自分にできることは何があるか、自分はどのようにして生きていくべきかなど、個人の考えがとても大切になってきます。

私も就活中に非常に焦りました。これまでは他者から与えられた課題を120%の出来でこなしていれば褒められていたのに、自分自身で課題設定をすることは非常に苦手であったからです。

私と同じような年代の方々なら、同じ悩みを抱えていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

既存のシステムを破壊する

そこで、どのようにすれば自分自身で課題設定ができるか、個人の思想を前面に押し出していけるかについて、過去のクリエイターに学んで見ましょう。

iPhoneを発明したスティーブ・ジョブズ、マイクロソフト創業者ビル・ゲイツ、セブンイレブンの鈴木敏文さん。彼らに共通していることは一体なんでしょうか?

革新的なイノベーターたちの共通点。それは、作られたシステムを一旦素材に分解して、それを再構築したということです。

音楽の世界でも、バッハやドビュッシー がこれに当てはまります。

世の中で当たり前と思っていることに対して、「本当に当たり前なのか?」と問い直すだけでも、イノベーションを生み出す第一歩になるのではないでしょうか?私への述懐としても書いておきます。

山口周さんのお話

次に、ダンディーな口調で山口さんがお話をはじめました。山口さんは、対話形式で客である私たちからの質問に回答するという形式でお話をされていたので、ここからは質問に対しての山口さん、菅野さんそれぞれの答えを書いていこうと思います。

Q. ハーバード大学の学生は、音楽を学ぶことの合理化はどのようにしている?

この質問は、山口さんが菅野さんに対してしたものです。答えは、「各人によって異なる」というものでしたが、統計的には、ハーバード大学の学生の3分の2は楽器が弾けるそうです。学業以外の面で活躍している人が、一つの武器を手に入れることと同じです。

山口さんは、もともとボストンコンサルティンググループに所属をしていました。ボストンコンサルティング では、マネージャーの研修プログラムで、「指揮をやる」というプログラムがあるそうです。音の感覚は言語化できないので、自分はどういう風に音を流して欲しいのか、ということ演奏者に伝える力を鍛えるいい機会だったそうです。

例えば、「音をあたためてください」という言葉は、「音を暖かい音で大きくしてください」という意味になります。つまり、形容詞にするとどのようなニュアンスで伝わるのかを考え、自分自身の考えを周囲にどのように伝えるのかを練習する機会だったそうです。この経験が今にも生きていると山口さんはおっしゃっていました。

私は、指揮者を勤めたことはありませんが、難しいのは容易にわかります。演奏者と指揮者の心が融合して初めて、一つの音楽として成り立つそうです。

Q. 企業の内部に、どのように音楽を取り入れていくべき?

これは、企業で実際に人事部長として働かれている方からの質問でした。音楽教育の重要性は十分に理解できた。しかし、実際に従業員に音楽を学んでもらおうと思ったら、どのようにして音楽を取り入れるべきかを尋ねた質問です。

これに対する菅野さん、山口さんそれぞれの答えは以下の通りです。

  • 菅野さん

2つあります。

1つ目は、耳をすますこと。何か一つ、フォーカスポイントを決めておき、そこを重点的に聞くことで、聴覚が敏感になります。答えの中に、微妙なニュアンスが入っていることがあり、そう行った微妙なニュアンスを読み取ることができるようになると思う。聞くことで、何かに結びつくことが多いので、聞くことが非常に大切。

聞くことに集中するために、見ることを捨てる。=目を閉じる。相手が発したサインをより繊細に受け取ることができる。

2つ目は、複数人で楽器を弾いて見ること。音を発することで、音のバランスをどう取るか、など、全体の調整を取れるようになる。

  • 山口さん

現実的な落とし所は、一つはオーケストラを雇って指揮を取らせる。「周りの楽器の音をよく聞け」、つまり指揮者をみるな。

組織の世界でも起こっていることだ。社長ばかり見ていて、周りの部署を見ていないか!?

全体としてどういったハーモニーが生まれているのか。

オーケストラの音楽はどのように出来上がっていくのかを学んで見ると面白いのではないか。

指揮者とオーケストラの関係性=指揮者によって全然違う。指揮者の特性をみるのも面白い。

企業内部に音楽を取り入れることはたやすいことではないように思えます。しかし、これまでは見えていなかったことまで見えるようになるかもしれません。

Q. 二人にとって創造性の正体とは?

創造性の定義について、個人で異なるものだとは思います。菅野さん、山口さんそれぞれにとって、創造性の正体についてお話していただきました。

これに対する菅野さん、山口さんそれぞれの回答は以下の通りです。

  • 菅野さん

元からあるものを組み合わせることは一つの創造性。iPhoneはその一例です。

 全く0から1は、今の時代はありえない。どこかにあるものをある文脈に結びつけ、新たな価値を作っていく。

アメリカの中学生、クリエイティブ性を高めるには?=音楽を使った授業で、まずは一つ楽器を勉強する。楽器はなんでもいい。演奏のための技法などを使って、ほかの楽器に応用する。技法の転換(=これが、既存のシステムの破壊につながるのではないか?)

バッハも同じことを考えていた。フーガの技法を応用した。

  • 山口さん

『アイデアの作り方』ビジネスの現場では、今までではありえないことの組み合わせが鍵になってくるが、文化的な新しさは組み合わせでは出てこない。

人々の「どういうことが心地よいか」という感性が重要になってくる。つまり、何かから持ってくるというよりは、自分自身の内在的な感性が勝負を分ける

自分にとってどういう音が気持ちいいかなど、テクニックよりも本質的な創造性は異なる。

つまり、ビジネスの世界でのイノベーションとは、今までのシステムでは到底ありえなかったもの同士の組み合わせであることが多いが、真のイノベーションを起こしたいのであれば、そのようなテクニック論に走るべきではないということですね。

Creativity loves constraints.

ここで『How Google Works』に紹介されていた、クリエイティブ性の特徴をご紹介します。

Creativity loves constraints.(クリエイティビティは制約を好む)

イノベーションを奨励するときに一番やってはいけないことは、賃金を与えすぎることであるという内容で書いてありました。現在、『モチベーション3.0』という本を読んでいるのですが、この本の内容を参考にすると、イノベーションを起こすための条件として、以下の人間の特性が挙げられます。

人間には、3つのモチベーションがある。

〈モチベーション1・0〉…生存(サバイバル)を目的としていた人類最初のOS 。

〈モチベーション2・0〉…アメとムチ=信賞必罰に基づく与えられた動機づけによるOS。ルーチンワーク中心の時代には有効だったが、21世紀を迎えて機能不全に陥る。

〈モチベーション3・0〉…自分の内面から湧き出る「やる気!=ドライブ!」に基づくOS。活気ある社会や組織をつくるための新しい「やる気!」の基本形。

イノベーションを起こす際に大切なことは、人間にはモチベーション3.0という特性があるということを経営層が理解しておくことであるのではないかと私は考えます。つまり、報酬目的よりも、自己の内在的なやる気から発生するモチベーションを発揮して、創意工夫を促すということです。

上記でご紹介したCreativity loves constraints.(クリエイティビティは制約を好む)は、不足分も創意工夫によって補うことを奨励することを意味しています。ここで十分すぎる資源を与えてしまうと、逆に創意工夫をする活動が抑制されてしまうことにつながります。

まとめ

今回は、菅野恵理子・著『未来の人材は「音楽」で育てる』刊行記念 知のトップランナー・山口周さんと語る「音楽」中心の”教養”ばなしの要約と、個人的な感想、他の書籍の引用などをまとめました。今回の記事のポイントは以下の通りです。

  • 現代は、「自分らしさ」を追求するため、自分自身を見つめ直す必要性が出てきた
  • そのための題材が音楽や絵画などである
  • 過去のイノベーターの共通点は、既存のシステムを破壊すること

繰り返しますが、現代の私たちに求められていることは、「人間らしさ」の追求です。そのための題材として、音楽、美術などのアートを手段として、アート「で」学ぶことを始めてみるのはいかがでしょうか?

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